どうも、くるみ学長です!
今回は、マルクスの『資本論』についての講義です。
皆さんは、資本主義であるこの社会を当たり前に生活していると思います。
しかし、相次ぐ世界恐慌や金融危機、例えばリーマンショックや現在のコロナによる不景気によって、この資本主義自体に疑問を持つ方が増えています。
そんな中、「資本主義はどうなるか」を書いたカール・マルクスによる『資本論』が今注目されています。
この本は1867年に出版された、めちゃくちゃ古い本です。
ですが、この『資本論』は不景気の今だからこそ、その価値を発揮する本なのです。
ただしこの『資本論』を読もうとした方は、だいたい挫折します。なぜなら、この本は資本主義についてめちゃくちゃ「回りくどく」、「難解な文章」で解説しているからです。
なのでこの記事では、マルクス『資本論』をわかりやすく解説します!
ぜひ最後までお付き合いください!
資本主義はやがて崩壊する!
結論として、マルクスがこの『資本論』を通して伝えたいのは、
「資本主義はやがて崩壊するぞ!」
ということです。
いきなりそう言われてもよくわからないと思います。
詳しく見ていきましょう。
資本主義のもとでは、すべてのモノは「商品」になっている
この世にあるモノ全ては「お金」で買えるようになっています。つまり、全てのモノは「商品」であると言えます。
こう言うとよく「愛はお金で買えるか」という議論がでるのですが、
沢山のお金を使ってアプローチすれば、なんだか買えそうな気がしませんか?
愛をお金で買えるかどうかは曖昧だとしても、ほとんどのモノはお金で買えるの事ができるは納得できると思います。
そしてマルクスは、「たくさんの商品の集まり」=「資本主義社会」としました。
商品には2つの価値がある
商品には2つの価値があります。
それは、①使用価値と②交換価値です。
①使用価値
例えばあなたが帽子を買ったとします。
帽子は何のために買いましたか?
帽子をかぶる(=使用する)ために買いましたよね?
こういった単純に商品を使うだけ、というのを使用価値といいます。
②交換価値
例えばあなたが魚屋で毎日魚ばっかり食べていたとします。しかし、同じ物を食べてたら次第に飽きてしまいました。
「肉も食べたいな」
そう思い、肉屋に行って牛肉1kgと魚2匹を「交換」することで、肉が手に入りました。
このとき商品(牛肉1kg)と同じ価値を持つ商品(魚2匹)で交換が成立したことになります。
このように商品には「交換するための価値(=交換価値)」という側面があります。
そしてこの「交換価値」こそ重要なキーワードとなります。
交換価値を円滑にするために「お金」が生まれた
しかし、魚屋が東京にあり、肉屋が千葉にあるとしたらどうなるでしょう?
いちいち魚を持っていくのは面倒ですよね。しかも、魚は持っていく間に腐ってしまうかもしれません。
そこで、①持ち運びが簡単で、②腐ることのない、③みんなが欲しがる物に変えることが必要となってきました。
そして、ここで「お金」が誕生します。
皆さんは「お金」と聞くと「紙幣」を思い浮かぶかも知れませんが、元々は「金」でした。
ですが「金」では重いので、「いつでも金と変えられるもの」として「紙幣」が使われるようになりました。
こうして、お金の誕生で経済活動が活発になっていきます。
「お金」への考え方が変わってきた
経済活動が活発になってきたのは良いのですが、ある時から「お金」への考え方を変える人々が現れます。
商品→お金→商品
例えば漁師が魚を釣って、その魚を売ることができました(商品→お金)
漁師はそのお金でコンビニの弁当を買って食べました。(お金→商品)
この「商品→お金→商品」が、元々の考え方です。
しかし、一部の賢い人間(資本家)はあることに気づきます。それは、
「お金自体を増やせばいいんじゃね?」
ということです。
ではどうすればお金自体を増やせるのでしょう?
お金→商品→お金
まず、お金で商品を買います。そして、その商品をお金に変えるのです。
ただ商品を買ってそのまま売るだけじゃ利益がでませんよね?
そこで仕入れた商品に「付加価値」をつけることで高く売ることでお金自体を増やすことに気づいたのです。
付加価値=労働力
その「付加価値」とは「労働力」です。
例えば、そこらへんに落ちてる木材と、職人が加工して作った木材の、
どちらが価値があると思いますか?
もちろん職人が加工して作った木材ですよね。
ではその価値の違いは何でしょう?
それは「労働力」です。
商品をつくるための「努力の量」が「付加価値」を生むのです。
一部の賢い人間(資本家)は、仕入れた商品に「労働力(=付加価値)」を加えて売ることで「利益」を生むことに気づきます。
ここまでの『まとめ』
長くなったので一度、ここまでの流れをまとめて整理しておきましょう!
①資本主義においては全てのモノが「商品」である
②商品は使用価値と交換価値があり、交換価値を円滑にするために「お金」が生まれた
③資本家はお金自体を増やすには、仕入れた商品に付加価値(=労働力)を加えて売ることで「利益」を得ることに気づく
労働力を仕入れる資本家
ここでまた、資本家はあることを思いつきます。それは、
「労働力自体を仕入れる」という発想です。
付加価値をつけるために「労働力(=商品)」が必要なら、それ自体を仕入れよう(=人を雇う)となったのです。
例えば、資本家は100万の商品を作りたいので、賃金90万で1人の労働者を雇いました。そして労働者は商品を作って売ります。
ここで資本家は、100万(商品)ー 90万(賃金)で10万の利益を得ることができました。
この時の10万の利益を「余剰価値」といいます。
労働者から見れば労働することで(商品)、90万の賃金を手に入れ(お金)、それを家賃や食事に使います(商品)。
これは先ほど見た「商品→お金→商品」のサイクルですよね。お金は増えません。
資本家から見れば、賃金を払う約束をして労働者を買い(お金)、労働者(商品)が車などを作り(余剰価値)、その車を売る(お金)
という、「お金→商品(+余剰価値)→お金」のサイクルですね。お金は増える一方です。
労働の価値を減らす
余剰価値が高まれば高まるほど、資本家は大きな利益を得ることができます。
では手っ取り早く、余剰価値を高めるのはどんな方法だと思いますか?
それは、「労働力(=商品)の価値」を減らすことです。
1カ月90万で雇って100万の商品をつくる
から、
1か月40万で雇って100万の商品をつくる
に変えれば利益が増えますよね。
このように資本家は、「労働力(=商品)」の価値を減らせば減らすほど、利益(余剰価値)を得るようになりました。
他にも、
- 単純に労働時間を伸ばして、商品を多く作らせる
- 給料はそのままで、商品をつくる速さを上げる(作業効率を上げる)
なども考えられます。
貧富の差の拡大
資本家はどんどん利益を得ます。
対して、労働者の賃金は変わらず、むしろ減ってしまいます。
そしてその状態はやがて、「貧富の差」を生むことになりました。
現在、世界の半分の「富」をたった62人が所有している状況をあなたは知っているでしょうか?
この状態はおそらくもっと深刻なことになるでしょう。
「貧富の差」が拡大し続けると最後はどうなるのでしょうか?マルクスは教えてくれます。
資本主義の崩壊
「貧富の差」が拡大し続けると、やがてそれに反発する労働者が現れます。
やがてそんな労働者増えていき、その労働者同士が手を組み、資本家を反逆するだろうとマルクスは考えています。
圧倒的に多い労働者に、少数の資本家は屈することになるのです。
こうしてマルクスは、
「資本主義は崩壊を前提とした社会システムである」
ことを論理的に証明しました。
最後に
いかがでしたでしょうか?
マルクスの『資本論』を少しでも理解いただけたのではないでしょうか?
マルクスは残念ながら、「資本主義の次はどうなるか」を語ってはくれません。
そこから先は私たちが考え、議論していかなければならないのです。
『資本論』はマルクスが資本主義を解剖して研究し、その弱点を指摘した本です。
逆に言えば、この資本主義の構造がわかる。つまり、お金を増やすにはどうしたらいいかもわかるということです。
2007年、ウォールストリートのエリート金融マンの間でこの『資本論』を読むのが流行っていたことからも察することができますね。
世界で最も信仰されている宗教は「資本主義」だと言われるほどです。
もしそれが崩壊したとしたら次は何になるんでしょうか?
それをつくるのはあなたかも知れません。
それではまた!
『資本主義』を理解するための厳選5冊!!
1:漫画版『資本論』
2:武器としての「資本論」
3:池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」
4:超訳 資本論
5:マンガ版 堀江貴文の「新・資本論」
最後まで御観覧ありがとうございました!
もしこの記事を読んで、為になったなと感じてくれた人は、
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それではまた!