リベラルアーツ学院

「教養」になることを発信していくブログです。

IS(イスラム国)はなぜ誕生したのか?【イスラム国 編】

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f:id:kazukazuda08:20200708194754j:plainくるみ学長

どうも、くるみ学長です。
ついに最終回!
【イスラム国編】です。
それでは早速参りましょう!

前回 【アルカイダ編】

liberalartsblog.com

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【イスラム国の誕生】

1:アメリカの復讐

f:id:kazukazuda08:20200710160109p:plain

同時多発テロが起きた時、
アメリカの大統領は
ジョージブッシュ(息子)でした。

 

息子?と思うかもしれませんが、

ブッシュ家の父と息子、
2人ともアメリカの大統領になっています。

テロに怒ったブッシュ大統領は、
アフガニスタンを攻撃します。

もちろんアメリカの軍事力は最強ですので、
アフガニスタンをあっという間に制圧。
タリバン政権も崩壊しました。

2:イラク戦争

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 イラクはクウェート侵攻の後、
核兵器を作っていました。
しかし国連によって中止にされます。

定期的に核兵器を作ってないか
確認(査察)していたのですが、
急にイラクはその査察を断るようになります。

そうなると

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イラクは核兵器をまた
作っているのでは?


と疑惑が噂されるようになります。

そんな中、イラクのフセイン大統領は
ブッシュ大統領(父)の暗殺計画を
立てていることが明らかになります。

f:id:kazukazuda08:20200710154024p:plain ブッシュ

パパを殺すだと…許さん…!
「イラクが大量破壊兵器を
 作っている疑いがある!」

として、アメリカはイラクへ戦争を仕掛け、
フセインを死刑にしました(2006年)

アメリカは大量破壊兵器を
作っているかどうか疑惑のまま、
感情に任せて戦争を仕掛けてしまったのです。

これは後に多くの議論を巻き起こし、
アメリカは海外から批判を受けます。

3:イラクが内戦状態に

 ブッシュ大統領はフセイン政権を潰した後、

f:id:kazukazuda08:20200710153307p:plain ブッシュ

あとは勝手に
民主化してくれるでしょう!

と考え、イラクからアメリカ軍を撤退します。

しかし、イラクに限らず中東やアラブの国々は、
ほとんど国王による統治か、クーデターによってできた
軍事独裁政権の歴史しかありません。

そのため自分たちが選挙で代表を選ぶ
という経験がまったくない。

そんな中で、
民主主義の国をつくりなさいと言われても、
何をしていいかわからなかったのです。

それがきっかけでイラク内は混乱、
内戦状態になります

4:スンナ派とシーア派

イスラム教の指導者選びには、
スンナ派とシーア派という2つの派閥に分かれます。

イスラム教の始祖ムハンマドの後継者を
子孫にするのが、シーア派
子孫ではなく、
実力者がなるべきだというのが、スンナ派です。

子孫にシーア、子孫にスンナで覚えると簡単です。


イラクはシーア派が多数派です。しかし、

少数派であるスンナ派・フセイン政権が統治していました。

 

スンナ派のフセイン政権が無くなり、

初めて自由選挙が行われます。

当然、多数派であるシーア派が選ばれます。

今までスンナ派に悪いことをされてきた、
シーア派がスンナ派に復讐を開始します。

なんと「スンナ狩り」という、
スンナ派を殺しまくるという残虐な行為が行われました。

5:イスラム国誕生

「スンナ狩り」をされた
スンナ派の一部の人間はこう思います。

f:id:kazukazuda08:20200709221535j:plainスンナ派

全部、元を辿れば
アメリカのせいじゃねえか、

アメリカぶっ潰してぇなぁ

そこに、ある組織がやってきます。

 

f:id:kazukazuda08:20200709221057j:plainアルカイダ

アメリカを潰したいのかい?
俺たちと協力しようぜ!

それはアフガニスタンのアルカイダでした。
ここでなんと
アルカイダとスンナ派の過激派が融合するのです。
そしてここで、IS(イスラム国)が誕生しました。

イスラム国には自称です。
世界には「国」として認められていません。


その後、スンナ派の過激派とアルカイダは
方向性の違いで脱退します。

残ったイスラム国のメンバーが現在
「最もヤバイグループ」
として扱われています。

イスラム国は
アルカイダとスンナ派の過激派から
技術や情報を吸収して、
さらに拡大していきています。

そして、今もなおイスラム国による
テロは各地で起きているのです。

【まとめ】

 ざっくりと今までの歴史をまとめておきましょう。


①ソ連とアメリカの冷戦から、

 タリバン政権と凶悪なビンラディンを生み出す。

②アメリカの勝手なイラク戦争により、
 タリバン政権とビンラディンが融合させ、
 アルカイダができる。
 そして同時多発テロを引き起こす。

③アメリカのいい加減な統治でイラク国内が混乱し、
 虐げられたスンナ派の過激派にアルカイダが接近。
 「打倒アメリカ」をもとに
 「IS(イスラム国)」ができる

【さいごに】

いかがでしたでしょうか?
現在の中東の紛争問題、テロ問題は
こんな歴史が裏にあった
というのが理解できましたでしょうか?

その上で振り返っていただきたい。

アフガニスタンをめちゃくちゃにしたのは、
ソ連とアメリカ

アフガニスタンにタリバンを送り込んだパキスタン。
パキスタンは元々インドでした。それを分断したのは、
イギリス

ビンラディンを追いやり凶暴化させ、
イラクをめちゃくちゃにしたのは
アメリカ

全ては大国が関係しています。そして、
アメリカが特に関わっているのがわかりますね。

別にアメリカを一方的に
批判したいわけではありません。
日本がもし大国だったら、
同じことをしたかもしれないからです。


私が中東問題について調べ教訓となったのは、
「立場を変えると見方がガラリと変わる」
ということです。

アメリカはイラクを攻撃するときに
「これは正義だ」
と大統領は主張しました。
誰もがそれを信じたと思います。

しかし、中東の立場になって歴史を振り返ると、
原因はアメリカ自身にあった。

両者の視点から見なければ
真実は掴めないということです。

アメリカは自ら中東問題を作り出し、
そのツケを払わされている。

そして、今度は中国という「最強の敵」も
アメリカ自ら作り出してしまった。

今後、大国はどんな問題を作っていくのでしょうか?
日本も巻き込まれてしまうのでしょうか?
私達はそれを注視していかなければなりません。

それではまた!

「中東」がよくわかる
    オススメの本

1:池上彰の世界の見方 中東
               〜混迷の本当の理由〜

 

2:中東から世界が崩れる

 

3:中東テロリズムは終わらない



最後まで
御観覧ありがとうございました!


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IS(イスラム国)はなぜ誕生したのか?【アルカイダ 編】

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f:id:kazukazuda08:20200708194754j:plainくるみ学長

どうも、くるみ学長です。
前回に続いて
【アルカイダ編】の講義です!
早速参りましょう!

 

前回【タリバン政権編】

liberalartsblog.com

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【アルカイダ誕生】

1:イラクの侵攻

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冷戦が終結したのを契機に、
イラクのフセイン政権
すぐ隣のクウェートへ攻め込みます(1990年)。

 

クウェートは石油が沢山出る、お金持ちの国でした。
ソ連も崩壊し、アメリカも関心が無かったので、 

 

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石油欲しい…今がチャンスや!

と考え、イラクはクウェートに
侵攻したのです。

当時のアメリカの大統領は、
ジョージ・ブッシュ(父)です。

1991年、アメリカはクウェートから
イラクを武力で追い出します(湾岸戦争)。

2:ビンラディン追放

イラクはサウジアラビアにも面しています。
サウジアラビアは、
「今度はうちにイラクが攻め込んでくるのでは?」
と危機感が募りました。

そこでサウジアラビアは
アメリカに救援要請を出そうとします。

それに反対したのがビンラディンです。

3:オサマ・ビンラディン

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ビンラディンは
サウジアラビアの富豪の息子であり、
アメリカの同時多発テロを計画した人物です。

ソ連によるアフガニスタン侵攻の時に、
各地からイスラム教徒が集まったのを覚えていますか?
なんとその時に、ビンラディンも参加していました。

ビンラディンはイスラム教を愛しています。
ですので、サウジアラビアが

キリスト教であるアメリカに、
救援要請を出すことに猛反対します。

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アメリカ軍は、
イスラムで禁じられている
酒も飲むし、女も露出が多い。
これではイスラムの地が穢れてしまう!

と感じたのでしょう。

しかし、サウジアラビアは猛反発を押し切って
アメリカに救援要請をだします。

その際に猛反発するサウジアラビアは
ビンラディンを国外追放しました。 

4:アルカイダの誕生

国外追放されたビンラディンは
かつてソ連と戦っていたアフガニスタンに戻ります。

アフガニスタンは、タリバン政権ができていました。
その中にもソ連を相手に一緒に戦っていた
昔の仲間たちが残っていたのです。

ビンラディンは、客人として
タリバンにもてなされることになりました。

そして、国外追放されたことと、
イスラムの地にアメリカ軍が入ってきたことに対し

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おのれ、アメリカ…
目に物見せてやる!

 

とアメリカに対し恨みを持つようになりました。

そして、ビンラディンは国際テロ組織を作り、
アメリカにテロを仕掛けることを誓います。

 

思い出してほしいのは
タリバン政権は元々、イスラム過激派の学生たちです。

「イスラム教こそが本当の教えである」

そう洗脳された学生達と、

アメリカに恨みを持つビンラディンが
ここで融合します。

 

そして、そこで作られたのが
アルカイダという組織でした。

5:アメリカ同時多発テロ

ビンラディンは、アルカイダのメンバーを
アメリカのパイロット養成所に潜り込ませます。

そして、2001年9月11日、
アメリカ国内で4機の飛行機を乗っ取って、
同時多発テロを起こすのです。

3000人以上の人が一瞬で亡くなりました。

【今回のまとめ】

1990年:イラクのクウェート侵攻
1991年:湾岸戦争
2001年:アメリカ同時多発テロ

①イラクのクウェート侵攻に対し、
 アメリカが軍を派遣し、撤退させる

②危機感を募らせたサウジアラビアは
 アメリカに救援要請

③アメリカの侵入に猛反発した
 ビンラディンがサウジアラビアから
 追放される

④アフガニスタンに行きつき
   「打倒アメリカ」のもとに
 タリバンとビンラディンが手を組み
 アルカイダ結成

今回はここまでです!
次回はついに最終回「イスラム国誕生編」です。

続きが気になる方はぜひ

ボタンを押して
お待ちください!
それではまた!

「中東」がよくわかる
    オススメの本

1:池上彰の世界の見方 中東
               〜混迷の本当の理由〜

 

2:中東から世界が崩れる

 

3:中東テロリズムは終わらない



最後まで
御観覧ありがとうございました!
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IS(イスラム国)はなぜ誕生したのか?【タリバン政権 編】

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f:id:kazukazuda08:20200708194754j:plainくるみ学長

どうも、くるみ学長です!
今回から「中東問題」について
講義したいと思います!

皆さんは「中東」と聞くと

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「テロとか多いし怖いなあ」
「いつも内戦で荒れてるよね」

というイメージが多いと思います。 

ですが、イメージだけで恐れていませんか?
きちんと「中東」のことを知って、
正しく向き合うことが大事だと思うんですよ。

アメリカの9.11同時多発テロを始めとする
現在も続くテロの多くは、
「イスラム国」
が関わっています。

「イスラム国」を知ることは、
「中東問題」のほとんどが分かると言っても
過言ではありません。

それでは「イスラム国」の成立の過程を
これから見ていきましょう!

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【基本情報】

1:中東ってどこ?

まず中東とは、
どこを指すかを理解しておきましょう。

世界基準の地図は、

グリニッジ展望台のあるイギリスが中心です。

イギリスから見ると、
「極東」は日本
「東」はインド
「中東」は、インドよりも西側、
サウジアラビアやイラクなどがある
地域を指します

2:中東の簡易地図

中東の地図は覚えにくいと思いますので、
簡易地図を載せておきます。

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全部覚える必要はありません。
これから話すストーリーのなかで、
参考程度に眺めてくれれば大丈夫です。

3:大まかな全体像

最初にイスラム国成立の、
全体像を載せておきます。

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いきなりこれを見ても
訳がわからないと思いますが
ひとつづつ解説していきますので
ご安心ください。

今回はタリバン政権誕生の過程を
追っていきましょう。

【タリバン政権誕生】

1:ソ連の侵攻

 第二次大戦後、
アメリカとソ連との冷戦の時代になります。
ソ連には2つの欲望がありました。

①寒すぎて港が凍ってしまうので、
     凍らない港が欲しい(不凍港)

②領土がでかくて守りきれないので、
    防壁となる周辺国が欲しい(緩衝国)

ソ連の周辺国であるアフガニスタンは、
軍事力が弱かったので
ソ連にとって脅威ではありませんでした。

しかし、
内部のクーデターや頻発する政権交代で、
アフガニスタンはだんだんと力をつけてきます。

それに恐怖を感じたソ連は
アフガニスタンに攻め込みます(1979年)

2:ソ連の支配

ソ連は強いですから、
あっという間にアフガニスタンを支配します。

しかし、ソ連の支配に対して
賛成派と、反対派で揉め合い
内戦状態となりました。

ソ連は共産主義の国です。
共産主義にとって宗教は
「麻薬と同じ」
と考えています。

f:id:kazukazuda08:20200708224326j:plain中東の人々

そんな共産主義の思想が
イスラム圏に入ってはまずい

そう考えた各地のイスラム教徒の人々が、
アフガニスタンに入り、
反対派と協力してソ連に対抗しました

3:アメリカの支援

そんなソ連とアフガニスタンの揉め合いを
影でこっそり見ている国がありました。
それはアメリカです。

アメリカにとって
アフガニスタンはどうでもいいのですが、
ソ連には弱体化して欲しかったのです。

そこでアメリカはこっそりアフガニスタンに
武器を支援しました

しかし、反米国イランを通らなければ
武器を送れませんでした。

そこで、アフガニスタンの東南にある
パキスタンを経由して、大量の武器を
アフガニスタンに送り込むことに成功します。

4:ソ連崩壊

アメリカの支援により、ソ連はなかなか
アフガニスタンを攻めきれません。
そして、やむなくソ連は
軍を撤退することに決めました(1989年)

大勢の戦力の喪失と莫大な費用により、
ソ連はその後、崩壊します。

5:内戦

ソ連が撤退したあと、
アメリカはアフガニスタンを
どうこうしようとする気がなく、
関心を失います。

各地から集まったイスラム教徒も、
それぞれの国に帰ってしまいました。

するとアフガニスタンは
何もない空白地帯となります。

アフガニスタンには様々な民族がいました。
今度は、その民族同士で
主導権争いによる内戦がおこり、
アフガニスタンはぐちゃぐちゃになります。

その内戦を利用したのがパキスタンした。

6:タリバン

パキスタンは隣のインドと対立しています。
それは現在でも続いています。
原因はイギリスなのですが、
今回は長くなるので省きます。

パキスタンの右にインドがいます。
左のアフガニスタンが、
もしもインド寄りの政権になってしまうと、
挟み撃ちになってしまいますね。

安心してインドと戦うためにも、
アフガニスタンには自分の言うことを聞く
政権になって欲しかったのです。

そこでパキスタンは
「タリバン(アラビア語で「学生たち」)」
をアフガニスタンに送り込みます。

7:政権誕生


タリバンとは、
アフガニスタンの内戦を鎮圧するために出来た、
イスラム過激派の学生達による組織です。

アフガニスタンの内戦を鎮圧しようにも
武器はどう調達したのでしょうか?

アメリカがパキスタン経由で武器を
アフガニスタンに送り込んでいた
のは覚えていますか?

その時、パキスタンは全ての武器を送らずに、
ちょっとずつ着服していたのです。

着服したアメリカの最新兵器をタリバンに渡し、
アフガニスタンに送り込みます。 

タリバンは着服した最新兵器によって、
アフガニスタンの内戦を鎮圧。
ここでアフガニスタンに

タリバン政権が誕生します(1994年)

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【今回のまとめ】 

1979年:ソ連のアフガニスタン侵攻
1989年:ソ連軍撤退
1994年:タリバン政権誕生

① ソ連によるアフガニスタン侵攻に
 アメリカが陰で支援し、ソ連軍撤退


②内戦状態のアフガニスタンに
 パキスタンがタリバン送りこむ

③アメリカから着服した武器で
 アフガニスタン制圧。タリバン政権誕生。

 
今回はここまでです。
次回は「アルカイダ編」です!

 

続きが気になる方はぜひ


を押してお待ちください!

それではまた!

「中東」について
 オススメの本

1:池上彰の世界の見方 中東
               〜混迷の本当の理由〜

2:中東から世界が崩れる

3:中東テロリズムは
  終わらない



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御観覧ありがとうございました!
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超速『日本仏教史』part2/2

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どうも、くるみ学長です。

今回は「日本仏教史」の続きです!

 

前回は、飛鳥時代から平安時代までの
仏教史を見ていただいたと思います。

 

前回のまとめ

①海外から輸入した仏教と、
 日本独自の「神道」をなんとか混ぜることで、
 中央集権化を進めた。

②奈良時代までは、
 「仏」は「神」よりも
 上の存在として扱われていた

③平安時代になると、
 「仏」=「神」という同等の関係になる

 

今回は、平安時代〜現代まで
仏教がどのような歴史を辿ってきたか
を見ていきます。

それでは早速参りましょう!

 

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仏<神の時代

第4章:鎌倉時代

1:鎌倉の新仏教

今までの仏教は、
厳しい修行ができる(時間がある)
貴族が行うものでした。

 

一方で、今日生きるので大変な農民達にとって、
厳しい修行はできず(時間がない)、

「自分たちは救われないのだ」

と考えていました。

 

そんな中、

「唱えるだけで救われる」

「坐禅するだけで救われる」

などのお手軽な6つの宗派が生まれました。

 

6つの宗派とは、浄土宗、浄土真宗、
日蓮宗、時宗、臨済宗、曹洞宗です。

このような、
お手軽な宗派は
「新仏教」として民衆に広く流行ります。

 2:本覚思想

民衆達はこの時代、

「あの世で救われる」

よりも、

「今、この世で救われたい(現世利益)」

と考えるようになりました。

 

そうなると、
海外から来る「仏」よりも、
現在ここにいる「神」の方が大事
という思想に世の中が切り替わってきます。
これを「本覚思想」といいます。

 

第5章:南北朝・室町・戦国時代

1:唯一神道

南北朝時代、日本が乱世のこの時代に、
慈遍(じへん)という人物が後醍醐天皇に
「神道を大事にしていきましょう。」
と進言します。

 

もう一度、国家のアイデンティティを取り戻すために、

仏教ではなく、天皇に通づる神道を

中心にしましょうと進言したのです。

 

室町時代になると、この慈遍の進言を引き継ぎ、
唯一神道(神道でやっていこうぜという思想)が
世の中に流行っていきました。

 

ここまで徐々に仏教から神道に中心が
移り変わってきましたが、
ここで完全に「仏教」より「神道」が上になります。

2:仏教徒弾圧

戦国時代になると、暴徒化した仏教徒にたいして、

織田信長などの実力者が仏教徒を弾圧していきます。

 仏と神、役割分担の時代

第6章:江戸時代

日本の思想体系の確立

江戸時代になると遂に、
天才・徳川家康によって
日本の「宗教観」の核となるものができます。

 

宗教を利用して国を運営するには
「三宝」が必要だと前回、お話ししたと思います。

 

  • 信仰対象(仏)
  • 思想体系(法)
  • 組織運営(僧)

 

江戸時代の
信仰対象は、天皇です

天皇をトップにし、
幕府は天皇に政治を任されたという正統生を示します。

 

思想体系は、中国から輸入した儒教が使われました。

「上の者に逆らってはいけない」という思想を、
長い年月を費やして民衆に植え付けます。

そのことで幕府(上の者)に民衆が逆らうことは
「悪」だとさせることに成功します。

 

組織運営に、仏教が使われました。

「寺」に民衆の戸籍を登録させることで、
民衆の管理が容易になりました。

このように仏教は区画整理・戸籍などの
組織運営に利用されるようになります。

 

こうして

信仰対象は、天皇(神道)

思想体系は、儒教

組織運営は、仏教

 が担うことで、
現在まで使われる国家の仕組みが完成するのです。

 最終章:明治時代・戦後

海外に対抗するために、
国のアイデンティティを強く主張して
盛り上げようとした明治政府は、
天皇陛下を中心とした絶対的な思想を確立するのに
神道が最も有効だと考え、
神道中心で政策を進めます(国家神道)。

 

しかし、戦争に負け、
GHQのマッカーサーによって
神道中心の政策が防がれます。

 

そして現在のような、
信教の自由、政教分離の時代となったのです。

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おわりに

いかがでしたでしょうか?

日本の仏教は、

①国家とまとめるために、
 海外の仏教(思想体系)を輸入し、
 日本なりにアレンジしてきた。

②アレンジした結果、
 海外と日本の仏教は全く違う宗教となった。

これが、複雑と言われる日本の仏教の真の姿です。

 

考えてみれば、
日本は「漢字」も中国から輸入しました。

中国の漢字も日本なりに
使いやすいようアレンジを加え、
現在使用されている「漢字」に進化しました。

 

日本は海外に学び、
それを日本なりにアレンジすることが
得意な国だということができますね。

 

そういった、
日本のこだわりの無さ、曖昧さ
私は好きです。

皆さんはどうでしょうか?

 

これにて「日本仏教史」の講義は終了です。

それではまた!

初心者の為の「仏教」本

1:反応しない練習

 

2:知識ゼロからの仏教入門

 

3:教養として学んでおきたい仏教

 

 

 

最後まで御観覧ありがとうございました。

もしこの記事を読んで、
少しでも為になったと感じてくれた人は、
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ブログ更新の励みになります!

 

それではまた!

超速『日本仏教史』part1/2

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どうも、くるみ学長です。
今回は「日本仏教史」について
講義したいと思います!

 

前回、仏教が
「どのように生まれたか?」を記事にしました。
まだ見てないという方はぜひ、ご覧ください!

liberalartsblog.com

 

皆さんはもちろん、
葬式などで仏教と関わりがあるとは思います。
ですが、本場の仏教徒からしたら、
「これは仏教じゃない!」
と言われるほど、
日本の仏教は特殊だとされています。

 

また、日本人は
クリスマスも祝う(キリスト教)時もあれば、
正月は初詣(神道)、
人が亡くなれば葬式(仏教)をします。

 

ではなぜ、
「日本人の宗教はごちゃ混ぜなのか?」
そしてなぜ、
「日本の仏教が特殊なのか?」
それは、「仏教の歴史」を見るとわかります。

 

それでは早速参りましょう!

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(1)仏>神の時代

第1章:飛鳥時代

1:仏教伝来

仏教が日本に伝来したのは、
538年です(諸説あり)。

百済という国から建築技術、
工芸技術などを日本に輸入しているときに、
「これはすごい!」
ということで仏教も輸入しました。

2:蘇我氏vs物部氏

大陸から輸入した仏教を受け入れるかどうかで
蘇我氏(崇仏派)と物部氏(反対派)で争います。

結果は蘇我氏が勝利し、
仏教を政治に取り入れていきます。

 

3:十七条の憲法

仏教を爆発的に広めたのは聖徳太子です。
十七条の憲法の中に、
「篤く三宝を敬え。三宝とは仏と法と僧となり」
と書いてあります。

 

この
「三宝」こそが
日本の仏教を知るための鍵
ですので、
ぜひ覚えといていただきたいです。

 

三宝とは、仏と法と僧のことです。

仏=信仰対象

法=思想体系、教え

僧=信徒、組織運営

 

宗教によって国を統治するには
この3つが欠かせないモノとなります。

4:日本の「神道」

元々、日本には「神道」がありました。

しかし、皆信じるものがバラバラ。
「神道」には信仰対象がなかったのです。

 

その為、国家をまとめる為の宗教としては、
三宝が揃ってる仏教を利用する方が
手っ取り早かったのです。

5:大化改新

中大兄皇子が中臣鎌足と協力して蘇我氏を倒し、
外国に対抗する為の、
中央集権国家を作ろうとしました。

 

その際に、

①信仰対象のない、元々日本にあった「神道」

②三宝が揃っている、輸入した仏教

 これをなんとか混ぜていくことで、
上手く国家運営をすることを決めます。

 

例えば「神宮寺」はこの頃に作られたのですが、

「神を仏が守っている」

という意味で作られました。

なんとか仏教と神道を
混ぜていこうとする努力が見られますね。

 

「神を仏が守っている」ということは、

この時代は、「仏」は「神」よりも

偉い存在ということがわかります。

 

 第2章:奈良時代

1: 仏教をアピール

外国から取り入れた仏教を、
国家と結びつける為に尽力したのが聖武天皇です。

聖武天皇は、東大寺奈良の大仏をつくり、
仏教の凄さをアピールします。

2:『古事記』編纂

海外の仏教にばかり頼っていても、
日本独自のアイデンティティは育ちません。

そこで「日本独自の神話」として、
『古事記』を作りました

3:道鏡事件

しかし、仏教の凄さをアピールしすぎて、
僧侶の権力が上がってきました。

 

エリート僧侶が政治に口出しするようになり、
だんだんと政治が腐敗していきます。

そして、遂には「道鏡」というお坊さんが、
天皇になろうとする事件が起きました。

 

このままではいけないと、
平安時代から仏教の見直しが行われます。

(2)仏=神の時代

第3章:平安時代

 1:最澄と空海

 そんな僧侶による政治の腐敗を
食い止めようとしたのが、桓武天皇です。

桓武天皇によって仏教の刷新が行われました。

 

「もう一度ちゃんとした仏教を外国から学ぼう」
桓武天皇は中国(唐)に最澄や空海を派遣して
中国の仏教を勉強させました。

そして、最澄と空海は中国で「密教」を勉強し、
日本に持ち帰り広く流行らせます。

 

「 密教」とは簡単に言えば、

「仏教は難しくて言葉で具現化するのは無理。
悟りを開きたいなら、山奥で厳しい修行をして、
第六感で何かを感じろ!」

みたいな感じです。

 2:本地垂迹説

密教は厳しい修行が必要なので
「山奥」で修行が行われていました。


しかし、この「山奥」がよくなかった。

 

当時の「山」は、天皇より強いとされていました。
「古事記」には天皇の祖先であるヤマトタケルが、
山の蛇に殺されたと書かれています。

 

山奥であまり修行されると、
仏教が天皇(=神)より強いイメージになってしまう。
それではまた道鏡事件のようなものが起きてしまう。

そこで「本地垂迹(ほんじすいじゃく)説」
唱えられました。

 

「本地垂迹説」とは一言で表すと、

「神と仏は一緒」というものです。

 

海外の「仏」が日本に降りたって、
「神」として現れたということにします。


漫画で例えると、
ワンピース(海外)ではルフィ(仏)
だけど、
ドラゴンボール(日本)だと孫悟空(神)
という感じです。

 

こうして神と仏は、同等の関係となりました。

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ここまでの「まとめ」

 ここまでの「日本仏教史」をまとめておきましょう!

①海外から輸入した仏教と、
 日本独自の「神道」をなんとか混ぜることで、
 中央集権化を進めた。

②奈良時代までは、
 「仏」は「神」よりも
 上の存在として扱われていた

③平安時代になると、
 「仏」=「神」という同等の関係になる

という感じですね。

 

日本独自の「神道」には、信仰対象がありません。


そのために海外からの
完璧な「仏教」をなんとか混ぜて、
辻褄を合わせようとする日本の姿勢が面白いですね。

 

 

次回はついに、
「神が仏より上」という時代に入ります。

 

続きが気になる方は、
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それではまた!

初心者の為の「仏教」本

1:反応しない練習

2:知識ゼロからの仏教入門

3:教養として学んでおきたい仏教

最後まで御観覧ありがとうございました。

 

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それではまた!

仏教はどのようにして生まれたのか?

どうも、くるみ学長です。
今回の講義は「仏教のはじまり」です!

 

皆さんは、
葬式などで仏教に慣れ親しんでいると思います。

 

でも、「仏教ってなに?」
っていざ聞かれると、
よくわからないと言う方が多いはずです。

 

ですのでまず今回は、原点に立ち返って、
「そもそも仏教はどう生まれたのか?」
をざっくり見ていきたいと思います。
それではさっそく参りましょう!

 

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序章:
お釈迦様の多様な呼び方

まず、お釈迦様の呼び方は様々あるので、
一応まとめておきます。
ここで紹介するのは主な3種類です。

 

 ゴーダマ・シッダールタ

 ゴーダマは「優れた牛」
シッダールタは「成し遂げる」を意味します。

 

なんで「優れた牛」かというと、
お釈迦様が生まれた釈迦国は農耕と
深い関係を持っていた国であるからだと
言われています。

 

インドでは、牛は「神様の使い」として
崇められているのも関わっていると思われます。

 

お釈迦様

お釈迦様はシャーキャ国の王子でした。
そのシャーキャを漢字で書くと、
「釈迦」となります。
「お釈迦様」というのは

 

実は「シャーキャ国様」と
言ってるようなものなのかもしれません。

 

ブッダ

 「目覚めた者」という意味です。
悟りを開く前は「シッダールタ」
悟りを開いた後が「ブッダ」という感じですね。

 

第1章 :お釈迦様、生誕

面倒なのでここから名前を
「お釈迦様」と統一して呼ぶことにします。

 

お釈迦様は紀元前5〜4世紀に、
インドのシャーキャ国の王子として生まれます。
お釈迦様は生まれる時に、
右手で天を、
左手で地を指して、

「天上天下唯我独尊

 (この世で最も尊いのはわたし1人)」

と言いながら生まれました。

 

また、生まれた際に

「出家すれば最高の悟りを得られるだろう」

と仙人に予言されます。

 

第2章:出家

仙人の予言通りに出家されては、
跡取りがいなくなると困った父は、
お釈迦様を家から出さずに、
あらゆる快楽を与えました。

 

しかしある時、お釈迦様は散歩に出かけたいと
父に許可を貰い外出します。

 

まず東の門を出ると、老人に会います。
あらゆる快楽を得ていたお釈迦様は
美しいものしか見たことがないので衝撃を受けました。 


南の門を出ると、病人に会います。


西の門を出ると、葬式に出会います。


最後に北の門を出ると、
まばゆく輝く修行僧に出会い、
お釈迦様はそこに救いを見出しました。

 
生きるからには
「老・病・死」からは
逃れられないと知ったお釈迦様は
出家することを決めます。

 
当時のお釈迦様は29歳。
妻と子どもを捨ててまで出家したかったのです。

 

第3章:修行

お釈迦様は2人の師から修行を受けました。
お釈迦様は天才だったので、速攻で会得します。

 

しかし、それだけでは悟れなかったお釈迦様は、
5人の仲間と共に肉体的な苦行を行いました。
ストイックなお釈迦様は
骨と皮になるまで修行しましたが、悟れません。

 

そこで苦行ばかりしていても
悟れないと感じたお釈迦様は、
菩提樹の木の下で瞑想を始めます。

第4章:悟り

菩提樹の木の下で
7日間瞑想したお釈迦様は遂に悟りを開きました。

 

この時は35歳のお釈迦様。
出家してからたった6年で悟りを開き、
目覚めた者=ブッダ」と呼ばれるようになります。

 

第5章:教えを広める

この境地は誰にも理解されないと感じたお釈迦様は、
最初は教えを広めようと思っていませんでした。

 

しかし、天上界から来た
最高神・梵天(ぼんてん)に熱心に勧められ、
教えを広めることを決意します。

 

第6章:仏教誕生

お釈迦様が最初に教えを説く相手として選んだのは、
一緒に苦行していた5人の仲間でした。

 

5人の仲間は最初、
お釈迦様が苦行が辛くてやめたのだと思い、
冷たくあしらっていました。

 

しかし、お釈迦様が現れると、
あまりのオーラに5人ともひれ伏してしまいました。

 

こうして5人の弟子をつくり、
教えを広めていく教団ができあがります。

 

ここが仏教の誕生でした。

 

第7章:弟子を増やす

仏教はどんどん国内に広まり弟子が増えていきました。

 

お釈迦様は一度、故郷のシャーキャ国に帰ります。
そして、
捨てた妻と子ども、義母、異母弟、従兄弟などの
多くの親族までも教えを説き、
弟子にしてしまいました。

 

第8章:
お釈迦様亡くなる

やがてお釈迦様も亡くなる時がきます。
紀元前383年(諸説あり)、初夏の満月の日に、
お釈迦様は瞑想に入ったまま息を引き取りました。

 

お釈迦様が亡くなることを

「ニルヴァーナ(涅槃⦅ねはん⦆。

 煩悩の火が吹き消された状態)」

と呼びます。

 

遺体は弟子たちが火葬しようとしましたが、
全く燃えなかったとされています。

 

遠方に旅に出てた教団の後継者が帰ってきて、
礼拝を終えると、ひとりでに燃え上がったようです。

 

最終章:教団分裂

 

仏教も時間が経つと、
時代とマッチしないことが多くなっていきました。

 

そして教団は、

①お釈迦様の教えに忠実に従う派

②時代に沿って変化すべき派

の2つに分裂してしまいました。

 

現代でも仏教は、

①は上座部仏教(=厳しい)

②は大乗仏教(=優しい)

として、2つの潮流で残っています。

 

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さいごに

いかがでしたでしょうか?
仏教の誕生の歴史をざっくりお伝えしました。

 

キリスト教は一神教で、神はひとりです。
対して仏教は誰でも悟りを開き、
自分が信仰される対象になれます。

 

例えば、矢沢永吉は矢沢永吉しかいません。
これは一神教。

 

一方、アイドルのAKB48は、
難しいですが頑張れば入れます。
これが仏教。

 

「神ではなく自分を主体として、
修行に励んで悟りを開くことを目的とする」
これが仏教の特色です。

 

皆さんにとっての仏教が、
少しは興味深いものとなってくれたら嬉しいです!


それではまた!

 

初心者の為の「仏教」本

反応しない練習

知識ゼロからの仏教入門

教養として学んでおきたい仏教

 

最後まで閲覧ありがとうございました。

 

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それではまた!

わかりやすい『米中覇権戦争』〜予測編〜

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どうも、くるみ学長です。

今回は最後の『米中覇権戦争』の講義となります!

 

前回は『米中覇権戦争』がどのように始まったのかをお伝えしました。知らないという方は、下記にURLを貼っておきますので、ぜひご覧ください!

liberalartsblog.com

 

その上で、「現代の戦争」と「昔の戦争」は全く違うとお伝えしたと思います。

では、何がちがうか?それを今回はお伝えします。

それでは早速参りましょう!

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1:現代の「戦争」の仕方


戦争と聞くと皆さんは、「殺し合い」を想像すると思います。ですが、現代の「戦争」は違います。


アメリカも中国もお互い「核ミサイル」を持っています。もし、どちらかが核ミサイルを打ったら、共倒れしますよね。

 

ですので、絶対とは言い切れませんが、殺し合いはしないと思います。

 

では、他の戦争の方法とはなにか?

3つあります。それは

①情報戦
②外交戦
③経済戦

です!それぞれ解説しましょう。 

①情報戦

情報戦とは、敵国を「悪魔化する」ことを言います。
敵国を「悪魔化する」ことで、世界的に孤立させるのが目的です。

 

例えば、韓国の慰安婦問題。

韓国は慰安婦の事を世界に発信しまくりました。

慰安婦がどうだったかはさておき、日本はあまり声をあげませんでした。

その結果、慰安婦問題において日本は「悪』と批判されます。

こういった「悪魔みたいなイメージ」を他国に植え付けさせて、孤立化させることを「情報戦」といいます。

②外交戦

自国の仲間を増やし、敵国と同盟国の関係を裂く戦略です。敵国を孤立させる目的で行われます。

 

例えば、中国の「AIIB」です。アメリカ以外の国で、お金の面で同盟を組んでいます。アメリカは経済的に孤立してきています。 

③経済戦

トランプが中国に対して行なっている関税引き上げが、経済戦です。
経済的に追い詰めることで、白旗を挙げさせます。

 

このように現代の戦争とは、
「敵国を孤立させれば勝ち」
ということがわかりますね。

2:米中覇権戦争の行方

ではこの3種類の戦争は現在どのように進んでいるかを見ていきましょう!

①情報戦

情報戦は現状、アメリカが有利です。

なぜなら、中国は「人権侵害国」だと世界中で広く認知されているからです。
これからもアメリカは「ウイグル問題」・「香港問題」を情報戦として取り上げてくることが予想されます。

②外交戦

外交戦は現状、中国が有利です。

「一帯一路」、「AIIB」、「BRICS」などの枠組みを使い、経済的な味方を増やしています。

 

一方、アメリカは微妙です。
トランプは「アメリカ・ファースト」と唄いながら各国と協力しようとしません。


トランプは、中国だけに集中して戦えばいいのに、欧米や日本にも喧嘩を売るという始末なのです。

③経済戦

経済戦は現状、アメリカが有利です。

アメリカの対中輸入は、中国の対米輸入より3倍以上多いからです。同率の関税をかけあっても、中国の被害は、単純に3倍大きいことになります。

 

以上、3種類の戦争のうち2つが現状「アメリカ有利」です。 

3:中国の不安要素

3種類の戦争において、アメリカに先行されている中国は、他にも不安要素が3つあります。それは


①中国の経済悪化
②共産党一党独裁
③外交戦さえも不利になっていく
この3つです。

 

それぞれ解説しましょう!

①中国の経済悪化

最近、中国のGDP成長率が鈍化しています。

なぜなら中国は国家として、「成熟期」に移行したからです。

 

中国は今まで「安い人件費」でモノを作れました。

しかし国の経済が潤うと必ず、相対的に「人件費」が上がっていくのです。

 

他国から来ていた企業は、安い労働力を欲しているので魅力がなくなるのは必然です。
そうなると企業は、中国から他の「安い労働力」がある国へ引っ越してしまいます。

企業に引越しされると、経済が鈍化し、国家が衰退を開始します。

 

かつての高度経済成長時代からバブル崩壊を経験した日本も同じ過程を経てきました。

こういった国家の過程を「中進国の罠」ともいいます。

 

それに加えて、中国人の人口が減ってきています。なぜなら皆子どもを作らなくても済むからです。

 

貧乏だと、子どもを多く産んで働かせるというのが通例です。
しかし、お金に余裕があると、産む子どもの人数は減っていきますよね。

 

このように、
「成熟した経済による人口減少と、それに伴う賃金の引き上げ」

がこれからの中国を襲うのです。

②共産党一党独裁

共産党による一党独裁は中国の「弱み」です。

なぜでしょうか?

 

民主主義国家の強さは

「革命なしで政権交代を起こせる」

ことにあります。
人々の不満や鬱憤は政権交代によって晴らせることができるのです。
コロコロ政権が変わることで時代の潮流にのれることもあります。

 

ですが、一党独裁国家はその逆です。
「革命しなければ政権交代を起こせない。」

 

世界史を勉強するとわかるのですが、中国は常に革命によって滅んでいます。

さらに、習近平は周りに言うことを聞く人間しか置いていません。

 

今の中国は、共産党の独裁ではなく、
習近平、たった独りによる独裁といってもいいのです。

たった1人に権力が集まる国家は腐敗し衰退します。これは中国の歴史をみてもあきらかです。

 

今は経済がうまくいっているので人々は反発しませんが、もしも中国の経済が悪化すると、人々は反発するはずです。

 

中国14億人 VS 共産党員

どちらが勝つと思いますか?

③外交戦さえも不利になっていく

さきほど外交戦では中国は有利だといいましたが。
もし、中国の経済が悪化するとなると事態は変わります。

 

現在は、多くの国がチャイナマネー欲しさに中国に協力しています。それが例え、人権侵害国家であっても。

 

しかし、先ほど言った経済悪化が本当に起きるとチャイナマネーは当然減りますね。

そのチャイナマネーが減るとなると、多くの国が協力する必要がなくなります。


「お金があまりない人権侵害国家」

こんな国に寄り添う国はいないはずです。

そうして中国はアメリカに対して、外交戦さえも不利になっていくと予測されています。

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 さいごに

 

以上、現在の3種類の戦争と、これからの中国の不安要素を考えれば、米中覇権戦争は

「アメリカが勝つ」

と推測できます。しかしあくまで推測です。

 

これからの米中の動向は、必ず日本も影響が出てきます。

他人事では決してないのです。

 

未来を予知できる人はいません。

しかし、常にニュースを注視して、その動向を監視する必要があります。なぜか?

 

あなたには世界の動向を変えることができませんが、

世界の動向に対応することができるはずだからと私は思います。

 

これにて、わかりやすい『米中覇権戦争』の講義は終了です!

最後までご閲覧ありがとうございました。

それではまた!

参考文献・オススメ本

『米中覇権戦争の行方』扶桑社

『China 2049』日経BP

 

 

 

最後まで御観覧ありがとうございました。

もしこの記事を読んで、少しでも為になったと感じてくれた人は、

スターをつけるか読者になってくれるとブログ更新の励みになります!

 

それではまた!